新元号「令和」が発表されましたね!

心理学で「母性原理」を研究しているのですが、この新元号について面白いなぁと思うことがあったので、個人的な私見ですが共有します。 心理学的な母性原理・父性原理については、心理学者の河合隼雄先生の研究や著書がもっとも有名です。 私も女性活躍推進やダイバーシティマネジメントの研修で、この心理学的な「母性」や「父性」についてお話しさせていただくのですが、この「母性」「父性」には異なる性質があります。 個人の中にも母性性と父性性の性質のバランスがそれぞれあります。
明確に測ることはなかなかできないのですが、7:3とか8:2とか。
女性でも父性性の性質割合が高い人もいますが、男性でも母性性の性質割合が高い人もいます。ここは個人差なのですが、全体でみた時に、女性は母性性割合が高い人が多いので似たような傾向が見えるというのが一つの特徴です。
この性質割合のバランスは、個人だけでなく、社会に当てはまります。 母性社会と父性社会は、時代の中でアウフヘーベンしてきたとも言えます。
ここは東洋哲学と西洋哲学にも通じていると感じています。 それで、この「母性」と「父性」にはいろんな性質の違いや特徴があるのですが、その中の一つが「成長欲求」の違いです。

父性の成長欲求は「成る」。「成り上がる」という上下の垂直な成長欲求です。 昇進したい、給与を上げたい、上場したいという成長欲求は、父性の持つ性質です。 一方で母性の成長欲求は「在る」。 自分のあるがままで役に立てる居場所を探して、そこで花を咲かせたい。
誰かの役に立てる総量が水平に広がっていくと嬉しいという水平な成長欲求です。 この性質の違い、価値観の違いからコミュニケーションギャップが生まれて、例えば組織の中で「女性が管理職になりたがらない」という葛藤が生まれてきている部分もあると思います。 元号の話に戻りますが、「平成」もこの母性と父性の両方を含んでいました。 いわずもがな「平」は平和や平らという意味もありますが、母性的な性質「水平」にも共通しています。 また「成」はそのまま、父性的な「成る」という意味を含んでいます。 新元号の「令和」はどうでしょうか。 「令」は、命令や司令などに使われ「いいつける」というイメージがあるので、もしかしたら「ちょっと…」と思っていらっしゃる方もいると思いますが、
今回の令和の「令」は万葉集の梅の花の歌の「令月」に由来するということですので、「何事をするにもめでたい」「良い」という意味ですね。
現代では「令」というと、人が人に命令するというイメージがあると思いますが、もともとの由来は会意文字で「集めるを意味する文字、頭上の冠の象徴」と「ひざまずく人」の組み合わせでできた漢字です。 もともとは、『人がひざまずいて神意を聞くこと』を意味すると言われています。

「令和」も、「令」は上下の垂直な価値観の影響がたしかにあります。父性的な意味合いのある文字です。 「和」は、穏やかでやわらかで争わない、母性的な意味合いのある文字です。
社会においても、母性社会にも父性社会にも優劣はなく、時代と共に変化し、そのバランスが変容させながらアウフヘーベンするものなのですが、元号に母性と父性の両方の性質が表されているのが面白いなと思った次第でした。