先日、アナザースカイでチームラボ代表の猪子さんが特集されている回を見ていると、
こんなことを言っていた。
『「サイエンス」と「アート」は相反するものだと言う人もいるけど、
“新しい世界を見せるもの”という意味では同じだ』
科学的アプローチから新しい世界を見せる「サイエンス」。
芸術的アプローチから新しい世界を見せる「アート」。
その時代を生きている人たちが心から「観たい」と願う、
ある意味、理想郷のようでもあり、未来とも言えるような、
そんな「新しい世界」を見せるという意味では、この二つは相反するのではなく、共通している。

これと似たような話に、「ビジネス」と「アート」の組み合わせも面白い。
海外では「アートそのもの」もビジネスとしての市場があり、経済が回っているけれど、
日本ではまだまだアート自体の評価も、アーティストたちの地位も世界と比べると低く、
「アートビジネス」の市場は確立されていない、未発達とも言われている。
もう少し、感覚的なもので捉えると、
「アート」的な感性で「経営」をしている経営者や起業家はたくさんいる。
そもそも「アート」の定義は広いけれど、
「常識や当たり前の価値観に挑戦し、新しい常識や価値や未来を創っていく試み」と捉えれば、
アートも経営もとても似ている。
少し個人的な話になるけれど、
女子未来大学の授業の中でも、自分の授業を創る時の感覚は、 「インスタレーションアート」を創るような感覚に似ている。 私は絵が描けるわけでも、写真が撮れるわけでも、空間や彫刻や音楽が創れるわけでもないけれど、 女性たちや社会に対して投げかけてみたい「問い」がある。 それをアートではなく、事業という形で表現する。

本当の豊かさとは何か? 女性にとっての幸せとは? 女性らしさとは何か? お金があることだけが幸せか? 身をすり減らしながら働くことが幸せか? 何のために働くのか? 本当の絆とはどんなものか? 理想の家族とは? 自分らしさとはどんなものか? など、色んなことを女性たちに問いかけながら 一緒に"幸せ"や"豊かさ"について考えられる場。

たくさんの女性たちに出逢う中で、女性たちが教えてくれた、 すべての女性たちがそれぞれ幸せに生きるためのヒント。 自分の中にある大量のそういう女性たちの思いを探って、絞り出すように授業を企画して作っていく。 だから終わったら何もできないくらい疲れてしまうのだけれど、 結局たくさんの新しい気づきを与えてもらって、 その場を通して、また新しい学びに出逢う。


女子未来大学では、多様な価値観の中の多様な幸せを尊重しています。
だから私たちは誠実に、すべての人が満足できるような授業を創り出していきたいと思っているけれど、感じ方は人それぞれで良い。 常識を覆すような価値観と出逢うことで自分が新しくなっていくことを感じてくれる人もいて、 自分の信じていることの答え合わせのように学んでくれる人もいて、 「何か違う」と違和感を感じる人がいてくれてもいい。 そういうたくさんの「創発」を繰り返しながら、 お互いがお互いに出逢ったことの意味を、 そこで生まれる学びの意味を感じてもらえたら、 女子未来大学という事業を創り出して、続けている意味があると思っています。
